学習のポイント――――苦しみ・困難は霊的成長を促す貴重な体験

「人は何のために生きているのか?」―誰もが一度はこうした疑問を持ったことがあるのではないでしょうか? これまで人々は、宗教や哲学にその答えを求めてきましたが、心から納得することはできませんでした。スピリチュアリズムは、霊的観点から人々が抱いてきた疑問に対して実にシンプルな答えを示しました。それは「人間は霊的成長のためにこの地上に生まれてきた」というものです。

地上人生の目的は霊的成長であり、それ以外にはありません。世の中にはさまざま人生論がありますが、正しい生き方とは霊的成長をなす生き方であり、霊的成長が達成されたとき「正しい人生を歩んだ」ということになります。もし霊的成長がなされなかったら、どれほどの地位や名誉やお金を手にしていても、その人の人生は価値がなかったと言えます。どれだけ多くのモノやお金を得られたかで地上人生の価値が判断されるのではありません。霊的成長がなされたかどうかが問題なのです。

すでに何回も学んでいますが、霊的成長をなすための実践項目は次の3つです。

①霊主肉従②利他愛の実践③苦しみの甘受

前回の学習では「利他愛の実践は霊的成長のために不可欠な霊的栄養素である」ということを学びましたが、この11章では③の「苦しみや困難を甘受し、正しく乗り越えることが霊的成長を促すことになる」という点に焦点を絞って学習しました。

大半の人々は、苦しみや困難は不幸であり不運なことだと思ってします。そして、なんとかして苦難から逃れたいと願って宗教にすがってきました。しかしシルバーバーチは、そうした従来の常識を180度覆すような「苦難の哲学」を説いています。この章の冒頭でも、シルバーバーチは次のように語っています―「悲しみ・落胆・挫折……こうしたものは人間的心情からすればあってほしくないものかもしれませんが、魂の進化にとってはかけがえのない貴重な体験なのです。」(P184)

苦しみは、魂の成長にとって欠かすことのできない体験です。苦難を避けようとすることは、せっかく与えられた魂成長のチャンスを逃すことになってしまいます。人間にとって大切な霊的成長が遅れることは、一番の不幸です。これまでの地上人の考え方は「苦難=不幸・悲劇」でしたが、霊的視点に立って考えると「苦難を避けること=不幸」ということになります。

苦しみや困難は具体的にどのような意義を持っているかというと、次の5つにまとめられます。

①カルマを切って霊的成長をリセットする

②霊的覚醒をもたらす

③魂を鍛える

④愛の心・同情心を深める

⑤霊との絆を強化する

地上的視点で見ているうちは、苦難がもたらす霊的利益を実感することはできません。しかし、シルバーバーチが「私たちは生命の旅を、肉眼ではなく霊的生命の知識に照らして見つめます」(P185)と言っているように、人生を霊的視点で眺めるなら、苦しみや困難は実にありがたいものと言えるのです。

霊的成長という最も価値あるものは、楽に得られるものではありません。
「価値あるもの、成就するに値するものほど、達成するのが難しいものです。(中略)とにかく挫けないことです。内在する霊的資質を活用して克服できないほど大きな困難や障害は絶対に生じません。」(P202)

地上は、魂の訓練場です。魂を鍛え磨き上げるために私たちは地上に生まれてきました。どんなに幸せそうに見えても、苦難のない地上人は誰一人いません。霊界へ戻ったとき、地上で受けてきた厳しい訓練によって自分が大きく成長したことを心から喜べるよう、苦難を避けることなく、地上人生を果敢に生き抜いていきましょう。

参加者の感想

苦難から逃げずに堂々と対処すれば、最も大切な霊的成長のチャンスになります。しかし実際には、苦しさのあまりそれを忘れてしまいます。忘れては思い出し、また挑戦する、という繰り返しです。振り子のように行きつ戻りつしながら振れ幅が次第に小さくなり、最後には乗り越えられるように、これからも実践に励み続けようと思います。

霊的真理に出会えたおかげで、普通なら避けて通りたいと考える苦しみや困難に積極的に向き合えることは、何にもまさる霊的宝だと思います。地上に生まれたのは霊的成長が目的であり、大霊の摂理はすべて霊的成長のためにあることを学ぶことができました。

「寿命までの地上人生を正しく生きたい」と、強く意識するようになりました。苦難の意義を学び、現在直面している問題から逃げずに正しく対処していこうと思いました。前回の利他愛の実践と合わせて、これまで学んできたことを深く理解し、頑張っていきます。

結果ではなく過程が大切だということがあらためて理解できました。霊界にゆだねて、自分を道具として使ってもらえるようになりたいです。霊界と太いパイプでつながり、生き生きとした価値ある人生を歩みたいと思います。

今日の学習は、人生のエッセンスが詰まっていました。地上人生は理想と現実の間で葛藤し、困難を克服する中で霊的成長できることをあらためて理解することができました。真理を知らない多くの人は、苦難を避ける生き方をしたいと必死になっています。しかし、それでは霊的に満たされることはありません。霊的真理を知ることができたことは、とても幸せなことだと感じました。

摂理に一致した生き方こそ正しい生き方だということを知ったからには、地上的なことに流されボーっとして生きていくことは許されないと思いました。いかにして自分が置かれた環境の中で困難と向き合っていくかが大切です。霊訓の中に「気迫に満ちた生き方」という言葉が出てきましたが、その言葉通りの生き方をしていきたいと思います。

最近、仕事で霊的成長のチャンスが訪れています(困難に直面しています)。今日の学びでその意味と対処方法を霊的真理に基づいてとらえ直すことができました。また、地上の苦難を“永遠に霊的成長をし続ける霊”という視点から考える契機にもなりました。苦しいときこそ霊的真理を学び直し、正しい生き方ができるように努力していきたいと思います

シルバーバーチは「霊性というものは苦悶と悲哀を通して初めて覚醒するものです。かくして自我に目覚めた魂は、他人の苦しみに心を配る大きな魂へと成長するのです」と述べています。私も困難に出会っても避けることなく真正面から取り組み、一段と大きな魂に成長し、他人の魂の成長に貢献できるようになりたいと思いました。

大半の人が、幸せになりたい一心で宗教に救いを求めます。その救いというのは、苦しみや不幸を取り除いてもらうことです。しかし霊的成長という観点から見ると、苦しみや困難はありがたいものです。この世の宗教とは180度違う考え方をシルバーバーチは説いています。シルバーバーチは、克服できないほどの苦難や障害は生じないと述べています。霊界の導きを信じ気迫をもって臨めば必ず乗り越えられることを信じ、勇気をもって前進していきたいと思います。


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